警察庁生活安全局保安課 大門雅弘課長補佐講話より

2015.11.19 10:45

遊技台・検定情報

続いて大門課長補佐の講話についてです。

遊技通信のサイトにアップされているのですが

サーバーが落ちていて現在見ることが出来ません。

アクセス集中と考えられますが、この講話に関しては

必読の内容ですので、弊サイトでも転載をさせていただきました。

※遊技通信さまのサイトが復活したら削除する予定です。

 

 

以下転載です、ご確認下さいませ。

 

ただいま御紹介にあずかりました警察庁保安課課長補佐の大門でございます。

本日は、一般社団法人余暇環境整備推進協議会の平成27年度秋季セミナーにお招きいただき、ありがとうございます。また、業界の皆様には、平素より、警察行政の各般にわたり、深いご理解とご協力を賜っていることに対しまして、この場をお借りして御礼申し上げます。

さて、本日は、ぱちんこ遊技の健全化を進めていく上での喫緊の課題を2点、お話ししたいと思います。
まず、射幸性の抑制に向けた取組の推進についてであります。

現在、業界を挙げて射幸性の抑制に向けた取組が進められているのはご承知のとおりかと思います。昨年9月には、日電協が、回胴式遊技機について、ART機能を主基板に移行することとし、この基準に合わない遊技機については、本年12月から販売しない方針を取り決めました。

本年3月には、日工組が、ぱちんこ遊技機について、大当たり確率の下限を400分の1から320分の1に引き上げることとし、この基準に合わない遊技機については本年11月から販売しない方針を取り決めました。

本年6月には、全日遊連が、日電協及び日工組が定めたそれらの基準に該当しない遊技機について、原則として認定申請を行わないこととし、合わせて、各ホールにおいて当該遊技機の設置を減らしてゆく目標値を定めました。

そして、本年9月には、業界関連6団体名による「高射幸性遊技機の取扱についての合意書」を策定し、全日遊連の自主規制を6団体で支援していくことを合意し、同合意は、パチンコ・パチスロ産業21世紀会としても賛同されていると聞いております。

さらに、メーカー団体としては、大当たり継続率や傾斜値に関する新たな基準を設けるなど、本年9月の6団体合意にとどまらない射幸性の抑制策を引き続き推進しているところでもあり、市場に出回る遊技機の射幸性が段階的に落ちていくことが期待されるところであります。

しかしながら、現実問題として、本当に市場から高射幸の遊技機が姿を消し、適度に射幸性の抑えられた遊技機に入れ替わり、遊技客がポケットマネーの範囲内で楽しんで帰ることが広く当たり前となる状況が実現するかどうかについては、未だ不透明であると言わざるを得ません。

例えば、各メーカーにおいて、取り決めた基準の範囲内で、知恵を絞って、今までと同じように、偶然性や吸い込み易さに拘るなど、結果として遊技客の費消金額や獲得賞品総額が過大になる遊技機造りを目指すのであれば、状況の改善は見込まれません。

また、各ホールにおいても、取り決めた撤去目標を定めていながら、許された期限の中でギリギリいっぱいまで高射幸の遊技機を設置し続けようとするならば、仮にメーカーが新たに低射幸の遊技機を製造・販売したとしても、その遊技機が市場に出回ることは期待できません。

その意味で、各業界団体が取り決めた事項が、取り決めただけで終わるのか否かは、今後の各メーカー、各ホールの姿勢や具体的な運用如何にかかっているものと思いますが、この現場単位の動きを実際にあるべき方向に動かしていくことこそ、各業界団体が力を発揮すべきところであると考えております。

皆様にありましては、各業界団体が実行に移すものとして取り決めた取組に対し是非とも賛同していただくとともに、その取組の趣旨を御理解の上、個々の運用においても、各営業所単位で積極的に射幸性の抑制に向けた取組ができるよう創意工夫を凝らしていただき、一方で、業界団体の一つである余暇進として独自の射幸性抑制に関する対策や目標設定をすることも選択肢に入れながら、幅広く、効果的な射幸性抑制策を検討・実行していただきたいと思います。

 

次に、遊技くぎの問題についてお話します。

遊技くぎに関する不正改造に対する業界の自浄作用を促すため、平成27年6月から一般社団法人遊技産業健全化推進機構において遊技機性能調査を実施していることについてはご承知のとおりであります。

同年8月までの調査結果によれば、全国161店舗258台の遊技機について、約6割が一般入賞口に全く入らず、残りの約4割についても、10分間に10個も入らないとのことであり、検定機と同性能のぱちんこ遊技機が1台も発見されない事実からすると、メーカー出荷時に既に性能が異なっている可能性も払拭できないことから、日工組に対し、その可能性に関する調査を依頼させていただきました。

その後の日工組からの報告としては、メーカーがホールに出荷する時点において、既に検定機と異なっている性能となっている可能性があるとのことであり、それを踏まえ、該当する型式に係る遊技機について、業界を挙げた回収を今後進めていくとのことでありました。

それを受け、当庁から、該当する型式に係る遊技機に関する撤去の要請をホール関係5団体に対し通知をさせていただいたのはご承知のとおりでありますが、ここで、改めて、一般入賞口に玉が入らないように改造したデジパチの極端な性能変更についてお話をしておきたいと思います。

一般財団法人保安通信協会の試験に合格し、検定を取得したデジパチについて、本年6月に日遊協に対し行われた行政講話において、一般入賞口に入る玉数が10分間に数十個がコンスタントに入る性能となっていると述べておりますが、仮に10分間に平均50個の玉が入る性能の遊技機であれば、1時間に300個の玉が入り、6月までのデジパチは通常、入賞1個に対し10個賞球ですから、3,000個が遊技客に払い出される性能と言えます。

3,000個は、4円ぱちんこでは12,000円分となります。つまり、1時間で12,000円分の玉が一般入賞口の入賞により本来遊技客に払い出されるべきところ、払い出されていない、これが、一般入賞口を締めた時に起こる性能の変更であります。このような極端な性能変更が、くぎ曲げが問題視される背景にあるということは、業界として共通認識を持っているべきだと思います。

 

また、別の観点からみると、風営適正化法上、遊技客が遊技で得られる玉は、大当たり等役物によるものだけでは駄目だとされており、それ以外の入賞の仕方として、一般入賞口による玉の入賞がありますが、この入賞口を殺すことは、すなわち、デジタル抽選が行われる始動口のみに入賞を偏らせるということであり、偶然性に過度に偏った抽選機となってしまっている、これも、極端な性能変更を示す一面であるかと思います。

このような極端な性能変更が問題視されるからこそ、くぎ曲げの是正を強くお願いしているところでありますが、だからと言って、極端な性能変更でなければ変更をしても構わない、と曲解することは、遵法精神に基づかない考え方であり、社会的に認められるものではありませんし、我々行政としても、求めているものではありません。

しかしながら、本年1月の全日遊連に対する行政講話に端を発し、再三に渡りこのくぎの問題を是正するための業界を挙げた取組をお願いしてきましたが、遊技客が遊技をする時点の遊技機性能において、一体何が改善されたのでしょうか。また、改善という結果までいかなくとも、今後の是正策としてどのような具体策や方針が示されたのでしょうか。

行政からうるさく指摘をされないようにするには、どの程度、一般入賞口に玉が入ればいいのか、ホールもメーカーもそのことばかりに気を取られているのではないか、業界の今年の動きを見るに、そのように考えざるを得ません。

 

行政が求めていることは、至極当然のことですが、検定機が検定機の性能のまま遊技客が遊技できる環境にするということであります。そのためには、検定機の性能のまま営業所に設置され、その状態が継続して維持される営業環境にする必要があります。

一般入賞口に何個入ればいい、というレベルの話ではありません。この当たり前のことを、今後のくぎ問題の是正を考える際の前提とするよう、考え方を改めていただくことが、今回当庁から要請した遊技機の回収・撤去を実現する出発点とすべきではないでしょうか。

この前提に立たない限り、いくら業界を挙げた回収だと声高に叫んだところで、今後もお茶を濁すような対応が繰り返されるばかりで、状況の改善が進むことは期待できません。

例えば、メーカー側が、今後の適正な遊技機を製造・販売するに当たり、営業所に設置される時点において、ベースが30であれば問題ないだろうと考え、保通協試験時には40や50で試験を通したものを、販売時に30にして出荷するというのでは、検定機の性能を逸脱した状況の改善は見込まれません。

また、ホール側においても、推進機構の調査をすり抜ければ問題ないと考え、ベースが50のものを、くぎを曲げて10や20に変更するというのでは、やはり状況が改善されたことにならないのは、言うまでもないことであります。

 

他店との競争にさらされている中で、今までやらずに済まされていた適正な遊技機の製造・販売や、適正な営業を行うことは勇気のいることであり、リスクも伴うことであると思いますが、そのことを理由に、問題の棚上げをしているようでは、今後の業界の健全化はおろか、業界の発展も見込めないのではないかと思います。

そのような営業所単位での状況改善が困難な状況であるからこそ、業界団体としてできること、しなければいけないことがあるはずで、それらは探そうと思えば見つけていけるはずであります。

例えば、日工組の表明した「検定機と同一性能の遊技機の出荷」が実現するためには、そのような遊技機をホールが購入していく姿勢を示すことが前提となりますが、それに当たり、各ホール関係団体において、ホールがどのような遊技機であれば購入していけるのか、その具体的な条件を真剣に検討した上で、日工組に依頼することもできるのではないでしょうか。

また、ホール関係団体において、検定機の性能を逸脱した遊技機は今後購入しません、と表明することも、メーカーの適正な販売を促進し、適正な遊技機に入れ替えていく土壌を整えることにもなるのではないでしょうか。

 

そもそも、なぜ、検定機の性能を逸脱した遊技機が市場に出回るのか。営業利益に対する貢献度の高い遊技機としてホールが欲し、その要望に答える形でメーカーが製造する、そういった構図があるのは否めません。

残念なことですが、推進機構の遊技機性能調査が始まった6月以降においても、検定機の性能を逸脱した遊技機が営業所から少しも減らないばかりか、メーカーへの改善依頼が一つも聞こえてこない状況が、ホール側も検定機の性能を逸脱した遊技機を欲していることの何よりの証左であります。

そういった違法な範囲まで営業形態の選択肢があると居直るホール側の誤った姿勢や考え方を改めていくことなくして、市場の遊技機を適正なものに入れ替えていくことはできません。

不適正な遊技機とは決別するとの決意と、今後の営業の用に供することができる適正なぱちんこ遊技機は何かというビジョンをホール側が持つことにより、メーカー側への適正な遊技機の販売要望が可能となり、その要望に応じて、メーカー側の適正な遊技機の開発・販売計画が進み、販売時期が決まり、その販売時期に応じて、現状出回る検定機の性能を逸脱した遊技機の撤去計画が進むというのが、現実的に進めていける一つのシナリオではないかと考えます。

 

したがって、業界を挙げた回収を進めていくに当たり、まずは、ホールの意識改革をいかに進めていくのかを考えていただきたいと思いますが、その実行については、当然のことながら、ホール関係団体が責務を負っております。

ホール関係団体として、過去と決別する断固たる決意をもって、適正営業に向けた具体的な表明をするとともに、その実現にこだわった積極的な会員指導を不断に実行していくことにより、はじめて意識改革が動き出すのではないでしょうか。

その意味で、余暇進におかれても他人ごとではありません。他のホール関係団体にまかせておくのではなく、余暇進としてもできることがあるのではないでしょうか。余暇進の存立目的の大きな一つとして、「業界の環境を整備すること」があると聞いておりますが、違法な範囲にまで営業形態の選択肢があると居直る姿勢や考え方が業界に蔓延している環境を改めていくことこそ、まさに業界の環境を整備していく上での最優先事項なのではないでしょうか。

余暇進を含め、ぱちんこ業界団体の今後の取組に期待し、私の話を終わります。御静聴ありがとうございました。

 

 

 

以上です。

 

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