「この方々無しではLGBTは語れない!株式会社JobRainbowさん」パチンコホールとLGBTについて三浦真理恵さんに聞いてみよう!最終回
2019.04.05 8:10
コラム今回のPMJ特集は「パチンコホールとLGBTについて」です。
「株式会社JobRainbowさん」へのインタビュー、最終回となります。
この方々無しではLGBTは語れない!
代表取締役の星賢人さんと取締役の星真梨子さんにたっぷりお話を伺ってきました!
それでは最終回スタートです!
見えないダイバーシティ
日本って、「見えないこと」と「人と違うこと」このふたつの条件が揃うとすごくネガティブイメージになる。
それって個人のことでしょってなる。
ぱっと見ではわからないから、11人に1人の割合でいるのに、それが無いことにされたりバカにされていたりとか当然のようにされてきた。
それが今噴出してきていて、それと同時にLGBTの課題が認識されて改まりが生まれると、「見えないダイバーシティ」に対してみんなが優しくなれる世界観が待ってると思うんですよね。
男らしさとか女らしさとかってLGBT関係なくみんなが結構苦しんできたものなんじゃなかなと思っていて、そこに違和感を持つ人だとか、そこに共感を持つ人っていうのがやっと日本で一致団結できるようになった時に、LGBTのムーブメントがひとつの旗のようになるんじゃないかって。
だから、まだまだだと思うし、これが進むことによって、見えない・言語化できない苦しみを持った人たちが救われる世界観が待っているなと思っていて。
そういう意味でLGBTを通じてダイバーシティ全体に何か貢献できるようなことを最終的には着地点として作っていきたいなとすごく思っています。
LGBTフレンドリー企業って実際どれくらいあるんでしょう?
フレンドリー企業の定義が難しいなと思います。
ただ、私たちがこの事業をやっていて思うのは、「知られざるLGBTフレンドリー企業」がすごく多いなということです。ぱっと見で言うとPRIDE指標でのゴールド受賞企業数がわかりやすいですよね。
2017年ゴールド受賞企業について
でも実はそうじゃなくて、最初に口コミサイトをやったときに、全く聞いたことがない企業様で働いている方から連絡があって、「この会社で性別適合手術のサポートもしてもらって、トランスジェンダーの人が3人働いています」っていう情報をもらったりだとか。
そう意味で言うとこれから私たちが日本全国どんな企業様がフレンドリーなのかを探して、発掘して、皆様に伝えていくっていうのが使命なのかなと。
現状としては私たちが把握しているのは300社程度データを持っています、というところです。
何から始めればいいかわからないという企業様は何から始めればいいでしょうか?
まずはLGBTって何かを知ってもらうことですね。
先ほどお話したマニュアル本は、何から始めればいいかわからない人向けに作っています。
「そもそもLGBTってなんだろう」から「言っちゃいけない言葉って何?」とか「LGBTの人って何してほしいんだろう?」とか「会社としてどうしていけばいいのか」とか。
まずは基礎知識を知ってもらうことかなと思っています。
その上で会社として何をやるかは本当に会社ごとです。
ただ、私たちの示している指針としては、差別禁止を明文化することですね。
まずは会社としてメッセージを発信すること。
会社の中っていろんな考えを持った人がいらっしゃるので、研修後一人ひとりがどういう行動をするかは会社がコントロールできる部分ではないですよね。
だからこそ会社として態度を決めるということはすごく大事かなと思っています。
福利厚生や相談窓口などのハード面の部分ってなかなか簡単ではなかったりするので、まずはソフト面で皆さんに知ってもらう、というところがスタートかなと思います。
それができてくると、相談窓口だとか、社内でトランスジェンダーの方に配慮した設備を整えるだとか、進んでいるところだと社内にLGBTサークルを作ってサークル発信で社内をアップデートし続けていく、といったこともできていっています。
あとは本当に、個人個人で望むことは違いますので、何かあった時に言える環境とそれに対して個別対応できる環境を整えていくことが大切です。
こだわりや大事にしていることは何ですか?
ひとつは、ビジネスでやるということにこだわっています。
LGBTの課題に関してって今までボランティアやNPOのアプローチでここまできて、
ようやくLGBTという言葉が浸透し始めて。
ただこれを善意や慈善的な取り組みで終わらせるのではなくて、
社会に対してメリットを提示しながら、利益を出しながら、
関係者みんなに対してwin-winな状態でこのビジネスを行っていくということは
すごく大事なことだと思っています。
関係者全員がハッピーであることもそうだし、ビジネスとしてインパクトを持つことで社会が変わっていくと信じています。
一方でビジネス寄りになりすぎることは絶対にできません。
弊社は、コミュニティに対する信頼を少しずつ積み重ねてきたからこそ地道に伸びてきた部分があります。
LGBTってすごくセンシティブな話題だからこそ、リーダーシップをとる人に対して不信感を持っている方はもちろんいますし、そんな中で誠実な対応をしてきて今があると思うんです。
だからLGBTコミュニティから信頼を得られる存在でなければならない。
だからこそ必ず正確な情報を出し続けていくし、インパクトを狙っていくし、そんな中でどうしても理解できないという人を置き去りにしないということも考えていかなきゃいけないなと思っています。
NG質問はありません
そして、わからない人に対して、「ダメだからダメなんです」みたいなアプローチは絶対にしないようにしています。
わからない人がいるのも仕方ないことだと思うんです。
自分がそういう常識の中でずっと生きてきたものを急に変えろって言われても、ね。
そこは無理やりとか、良いことだからやらなきゃいけない、とかではなくて、なぜ理解できないのか・何が引っかかるのかを解決できるるようなアプローチを常にしていきたいなと思っています。
研修の際もNG質問はありません。皆さん人を傷つけたくはないんですよね。
だから「こんなこと聞いたら傷つけちゃうかな」と思って聞けないことがあったりするとなんとなくモヤモヤしちゃう。だから「この場では何を聞かれても誰も気分を害さないし、丁寧に答えるのでなんでも質問してください」と伝えています。
今後の展望をお聞かせください。
LGBTの方の割合は、左利きの方の割合と同じくらいだと言われています。
昔は左利きって恥ずかしいことだとされて親とかに右利きに直されていた。
でも時代が変わってきて、今は左利きの人って当たり前にいますよね。同じようにLGBTの人がいて当たり前という状況にしたいと思って動いています。
約67.5万人の求職者
国内の求職者の中の7.6%がLGBTと言われているので、約67.5万人の求職者がいることになります。
その67.5万人の求職者に対して認知度99%を目指していて、そのうちの3人に1人が弊社のサイト経由で就職していくという未来を描いています。
介護や飲食などいわゆる人材不足と言われている業界でも、弊社からすごく採用していただいていたりするので、パチンコ業界ももちろん、職業選択の幅は広げていきたいなというのはすごくありますね。
そして、今は就職領域だけですけれども、LGBTの方々が困るのって就職だけじゃないんですよね。人生のいろんなフェーズで困ることがある。結婚・金融・住宅・介護と様々な問題がある。ですから私たちは、就職から始まって各フェーズにおいて皆さんの生活を支えていけるようなプラットフォームづくりをしていきたいと考えています。
全ての人にとって優しくなれるような世界を
約67.5万人の求職者私たちがやりたいことって、
単に就職の支援ということではなくて、カルチャーや社会構造を変えるというチャレンジなんです。
ヴィジブルなダイバーシティもインヴィジブルなダイバーシティも、
そういうものを抱えた全ての人にとって優しくなれるような世界をつくっていく。
それだけですね。
三浦さんについてプロフィール
株式会社kaika 代表取締役 三浦真理恵
2009年株式会社パック・エックスに入社。営業・新規事業の立ち上げ・組織改革支援・研
修講師を経て2014年5月に独立。「ひとりひとりが輝く組織づくり」をモットーに、パチ
ンコ店・飲食店・広告代理店・ITコンサルティング会社等での研修を行っている。提供し
ている研修コンテンツは全て企業様からの要望で生まれたもの。内定者・新入社員研修を
はじめ、接客、チームビルディング、モテ上司、ビジ女、コミュニケーションマネジメン
ト、接客手話など、幅広い研修を展開している。
「私は自分の仕事が大好き大賞」事務局、「第14回S-1サーバーグランプリ」二次予選審
査員、レインボータウンFM「カリスマホスト信長の晴れ時々モテラジオ」アシスタント
MC、同局「三浦真理恵のプロフェッショナルの心髄」等、活躍の場は業界にとどまらない。