「この方々無しではLGBTは語れない!株式会社JobRainbowさん」パチンコホールとLGBTについて三浦真理恵さんに聞いてみよう!NO7
2019.03.20 14:40
コラム今回のPMJ特集は「パチンコホールとLGBTについて」です。
2019年2回目の更新、皆様大変お待たせいたしました。
今回はなんと、この方々無しではLGBTは語れない!
ということで株式会社JobRainbowさんへ取材を敢行@第二弾です。
代表取締役の星賢人さんと取締役の星真梨子さんにたっぷりお話を伺ってきました!
それでは第二弾スタートです!
掲載企業数も増えていますか?
今お付き合いのある企業様は約300社で、超大手からベンチャーまで様々です。
立ち上げ当初は10社無いくらいだったので、どんどん増えていますね。
嬉しいお声もたくさん届くようになりました。
「家族と泣いて喜びました」とか「今ここで働けていることが幸せです」だったりとか。
企業のインタビューページに当事者の方が登場するようにもなりましたね。
参考:企業インタビュー ブログ記事について
ブログ記事一覧:https://ichoose.jp/blog/list.html
例:freeeさんのインタビュー
https://ichoose.jp/blog/detail/101
例:ソフトバンクさんのインタビュー
https://ichoose.jp/blog/detail/81
今まではLGBTって芸能人だったりアーティストだったり、特別な才能を持った人しか前に出れなかった。
でもそうじゃなくて、一般企業で働いているビジネスパーソンとして自分のアイデンティティを積極的に語れる人が出てきたというのは、弊社がやってきたことのひとつの成果かなと思うし、私たちが目指しているのは、特別な存在じゃなくて、隣にいる存在なんだよっていうことを伝えていくことなので、そういう成果が少しずつ見え始めているのかなと思います。
最初に掲載する際のハードルは高いですか?
そうですね、LGBTフレンドリーな企業様しか載せられないのですが、フレンドリーと言っても様々で。
何も制度は無いけど皆さん共通認識は持ってらっしゃる企業様もあれば、逆に制度は用意したけどまだまだこれからっていう企業様もある。そういう企業様も私たちは紹介していきたいので、そのための最低限のハードルとして最初にLGBT研修の受講をお願いしています。
ちょうど今マニュアルを作っていて、2月中に出版予定です。
そもそもどういう風にセクシュアリティが決まるのか、社会課題がどうなっているのか、メンタルヘルスや就業における困難や生産性、転職率、離職率、実際に企業で働いている方のインタビューなど。この一冊で取り組みの基礎からアウトプットまでを学べる内容になっています。
※フレンドリー企業マニュアルについて
それを選ぶのは当事者なので
これを今後企業様に配布していくことで認知度を高めていくということと、実際に地に足の着いた取り組みができるようにサポートしていく。
姿勢を持っていることであったりとか、基礎知識をちゃんと知っているというところからLGBTフレンドリー企業の第一歩を踏み出していると考えているので、その上で24項目で評価することで程度がわかるようになります。
我々はLGBTフレンドリー企業の求人サイトなんですけど、それを選ぶのは当事者なので、こういうことができて、かつ自分はこういう業種・こういう業界で働きたい、というのがあって初めて職業における幸福みたいなところに繋がっていくのかなと思うので、企業様がやりたいっていうときにちゃんとサポートできるようなものになるかと思います。
http://jobrainbow.net/%E9%81%8B%E5%96%B6%E5%9B%A3%E4%BD%93
LGBTの方々は、就職時にどのような不安を抱えていることが多いのでしょうか?
人それぞれです。その中でも一番多いのは「マイクロアグレッション」ですね。
直訳すると「微細な攻撃」なんですけど、周りが意図していないけど差別的なニュアンスとかそういった言葉を投げかけられることですね。言っている側は人を傷つけるつもりはなくて。
「お前らホモかよ」とか「おかまなんじゃねーのー」とか。
「なんで美人なのに彼氏いないの?」とか
「男は結婚して一人前だからな」とか
「もう少し女子力高い恰好すれば?」とか
そういった会話って、職場でみなさん一度は聞いたことがあるような言葉だと思うんです。こういった言葉に傷ついていたり。孤独感・孤立感を感じていることがある。それがLGBTの方々にすごく多いですね。
あとは同性パートナーがいる方であれば、転勤にパートナーを連れていけるかどうかってすごく大きな要素だったりします。例えば僕のパートナーは証券会社で働いているんですけど、その会社はパートナー制度があるので、もし彼が海外転勤になったら僕は扶養される側として一緒に行けるし、生活費も出してもらえる。それがあるのとないのとでは全然違いますよね。未来のキャリア設計が変わっちゃいますから。
トランスジェンダーの方は、お手洗い・更衣室・制服とかがストレスなく使える状態なのかどうかはすごく大きいですね。トランスジェンダーの方の方が、ハード面が整っているかどうかを気にされます。
参考:「マイクロアグレッション」って知っている?何気なく使っている言葉に潜む差別
性別や戸籍や通称名
あとはもし性別・戸籍を変更する場合ですよね。
就活前にされる方って多いんです。でもそれってすごく危険で、そもそも性別適合って長い時間をかけて決断しないと後悔する可能性もあって、不可逆的な手術をしちゃうと後戻りできないのに急いでやっちゃう。
そうすると健康リスクも高まりますし、後悔される方も少なくないです。
変えたとしてもたとえば女子大卒で戸籍が男性だとその時点で絶対カミングアウトしなくちゃいけなくなっちゃいますし。
あとは通称名ですよね。
通称名だと経歴詐称になっちゃうから内定取り消しされるんじゃないかという不安もすごく強くて。
フレンドリー企業様では通称名OKですよと打ち出しているので、通称名でエントリーシート送って大丈夫ですよと伝えてます。うちのサイトですら本名を書く方が多いんです。
相手を騙すことになっちゃうんじゃないかって。
それってすごくツラいことですよね。自分の本来の姿で行く=人を騙すことになる。
そこは皆さん不安感がありますね。
10,000,000人近く存在するLGBTの方々
LGBTの方々は13人に1人と言われてきましたが、最近では11人に1人と言われています。
日本の人口に換算すると一千万人近くいる。
参考:11人に1人がLGBT層 男女6万人を対象に調査
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000145543.html
求職時に困難を感じますか?という質問をすると、非当事者の方は6%なのに対してレズビアン・ゲイ・バイセクシャルの方で44%、トランスジェンダーの方だと70%の方が困難を感じているという現状があります。
職場にフォーカスをしていくと、職場でカミングアウトしたいという方は42%いるにも関わらず、実際にカミングアウトしている人は4%です。カミングアウトすることがリスクになる現状があるんです。
そして、69%の方が職場での差別的言動を経験したことがあると答えています。
非当事者に、職場でのLGBTへの差別的言動を見聞きしたことがあるかと聞いてもここまでの数字は出ません。
その差ってやっぱり、当事者か非当事者で感じるポイントが違うということなんです。
ここ数年でLGBTに関する情報や取り組みがすごく増えましたがそれについてはどう感じていますか?
ここ数年で広まってきたそもそものきっかけは東京オリンピックの開催ですよね。そんな中で
【LGBTに対する差別を禁止するという規定を企業が持たない限りその企業とは取引をしません】
という「調達コード」が東京オリンピックからはっきりと明文化されたので、それに伴って大手企業がこぞって禁止規定を作った。
もう一つは2015年の渋谷区のパートナーシップの条例ですよね。
参考:渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例
リンク:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/assets/detail/files/kusei_jorei_jorei_pdf_danjo_tayosei.pdf
※PDFですのでご注意ください。
これはやっぱり政治という部分からの大きなメッセージになったので、それによって各自治体が変わっていったなと感じて。このふたつの後押しによって今の流れがすごく出てきたと思います。
3年前に事業を始めた頃って誰もLGBTって言葉を知らなくて、「それってサンドイッチですか?」みたいな(笑)。区役所の方々に取り組みを打診したら「うちの区にはLGBTはいません」って言われたり(笑)
会社を興すって言った時も、ニッチ過ぎるって言われたり、需要がないって言われたり、それこそ気持ち悪いとか世の中の伝統が崩れるとか言われたこともありました。
それが今の状況になって、そういうこと言ってきた方から連絡が来て、「うちも取り組み始めるから話聞かせて」って言われたりするのがすごく嬉しくて。
そんなに否定的なことを言ってた人が前向きなことを言うってそれはものすごい変化で、本当にここ最近会った日本の変化でものすごく大きいものなんじゃないかなと思っています。
ですからその変化のカーブとしてはものすごくムーブメント的なのかなと。
今この瞬間もユーザー数が増えていて、企業様からのお問い合わせや引き合いもめちゃくちゃ増えていて、当時は一社話して決まるまで半年くらいかかっていたのが、今は会社のトップがやりたいって言ってるからってすぐ決まる。
じゃあ長い目で見たときに本当にムーブメントかっていうと、僕はただの一歩だなと思っています。
アメリカって同性婚が法制化されてやったねやっと認められたねってイメージですけど、全然そんなことなくて。
今でも銃で撃たれて殺されているLGBTの方がいっぱいいますし。今になってやっとゴールデングローブ賞とかでLGBTがテーマの映画の名前が挙がるようになってきた。
参考記事:今年の「ゴールデングローブ賞」はLGBT映画祭りに!
リンク:https://genxy-net.com/post_theme04/1101119ll/
僕がアメリカで感じたのは、この勢いは止まることはないなと。
日本はまだ法制化もないですし、アメリカで20年前に起こっていたことが今日本で起こり始めているんです。
初めてパートナーシップを自治体レベルで認めていこうってなったのが20年前。
で、最近やっと国レベルになった。そう考えると日本でもまだまだだなと。
こんなことでムーブメントって言ってたらだめだなと。
まだまだ日本って余力があるし、これからもっともっと変わっていくと思っています。
という事で今回はここまで!
次回はいよいよ最終回となります!よろしくおねがいします!
三浦さんについてプロフィール
株式会社kaika 代表取締役 三浦真理恵
2009年株式会社パック・エックスに入社。営業・新規事業の立ち上げ・組織改革支援・研
修講師を経て2014年5月に独立。「ひとりひとりが輝く組織づくり」をモットーに、パチ
ンコ店・飲食店・広告代理店・ITコンサルティング会社等での研修を行っている。提供し
ている研修コンテンツは全て企業様からの要望で生まれたもの。内定者・新入社員研修を
はじめ、接客、チームビルディング、モテ上司、ビジ女、コミュニケーションマネジメン
ト、接客手話など、幅広い研修を展開している。
「私は自分の仕事が大好き大賞」事務局、「第14回S-1サーバーグランプリ」二次予選審
査員、レインボータウンFM「カリスマホスト信長の晴れ時々モテラジオ」アシスタント
MC、同局「三浦真理恵のプロフェッショナルの心髄」等、活躍の場は業界にとどまらない。